開発の鉄人、小柳商事に行く「産業用色彩情報企業」|ガクセン - 優秀な学生を検索して採用するサイト

開発の鉄人 多喜 義彦による企業特別インタビュー モノからコトへ」を堅実に実践 産業界に彩りを提供し、業界を牽引する「産業用色彩情報企業」

『日経ものづくり』 “開発の鉄人”コーナーの連載を持つ多喜義彦先生に、ガクセンに参画する小柳商事株式会社を特別インタビューしていただきました。

開発の鉄人 小柳商事に行く「産業用色彩情報企業」

 塗料の卸し業、いわゆる塗料屋。全国どこでも、塗料屋という商売は必要で、何かの機械や装置、建物、構造物、とにかく何かを作ったらその表面に塗料を塗る。当たり前だが、産業には必要不可欠な存在である。そして、その必要不可欠ゆえに誰にでも出来る商売であるから、その数はラーメン屋ほど多くはないが、全国どこにでも同業者が存在する。今でも全国に3,600社くらいが塗料を販売しているのだ。

 しかしこの小柳商事、他の塗料屋とはちょっと違う、いや、ちょっとどころか全然違う。何しろ、塗料全般の卸売は勿論だが、塗料のユーザーに対して塗料の使用法から設備まで、そして何とコンサルティングまでのサービスを提供しているのだ。

 ものづくりに欠かせない塗装技術や塗料を見てきた鉄人にとって、これほどユニークな塗料屋は見たことが無い。いやいや、普通に“塗料屋”と言うのは失礼で、産業界に彩り(いろどり)を提供している、「産業用色彩情報企業」と呼んだ方が、業態を表す呼び名として相応しいのではあるまいか。

塗料卸売業者は安定している?

 全国に3,600社の塗料卸売業がいると、先にも書いた。この数字、多いのか少ないのか別として、どの業者も顧客との密着度は抜群だ。理由は簡単で、塗料のユーザーである顧客企業は、一度発注した塗料卸売業者を滅多に変えたりしない。それはそうだ、塗装というのは製品や商品を送り出すお化粧みたいなもの。その化粧品を、あちこち日替わりで仕入れるようなことをしないのは、女性を見ても分かるだろう。一度、自分に合うと決めた化粧は余程のことが無い限り使い続けるものだ。それと同じで、ユーザーはしっかりとした業者には最適な塗料の選択まで委ねるし、色調合まで任せているユーザーも多い。

 だから、良くも悪くも、普通の塗料卸売業者は安定しているのである。ここで、良くもと言ったその良いところは、一度取引が始まると顧客を奪われることも無く安定するという意味であり、悪くもと言うのは、それだけ顧客の状況が手に取るように分かるので、余計な事はしないし新規顧客を取ろうという意欲も無い。つまり、ジッとしていても何とかなるので、そこに開発意欲が有る訳でもないし、事業が拡大する余地も少ないのだ。

 しかし、この小柳商事は違う。塗料の卸売は勿論のこと、ユーザーに塗料は勿論、化学薬品、接着剤、各種溶剤の使い方や使う為の塗装プラント機器、空調機械設備、公害防止設備、排水処理設備などの設備や、電動工具、電機製品などの装置、そして建物塗り替え工事やリフォーム工事や環境に関するコンサルティングまで、実に幅広く、ユーザーへのサービスを充実拡大しているのである。

ぺロからペイントに

では一体、どうしてそうなったのか、小柳商事株式会社の代表取締役小柳英樹氏のお話を聴いて、鉄人は直ぐに合点がいったのだ。

 それは、小柳社長がこの会社に入社する以前、修業時代を証券会社にいた話を聴いて、分かるような気がしたのである。言わば、ぺロからペイントに、それはある意味で必然であり、その修業時代の体験から、今の小柳商事が在ると言ってもいいだろう。

 少し解説が必要だ。ペロというのは、証券会社の営業社員が使っている注文伝票のことで、言葉の使い方としては「ペロを切る」という具合だ。証券会社の顧客、つまり投資家から注文をもらうと、その注文伝票であるぺロに銘柄や売買株式数などを書き込み、注文時間を打刻すると、それが即、手数料に換算されるのだ。証券会社の事業を為す上で、もっとも基本的な帳票なのである。証券マンにとって、このぺロを切る数が業績の全てとも言える訳で、多ければ、それは非常に誇らしいことなのだ。

 このように書くと、ぺロは素晴らしい仕組みであるようだが、実は、顧客全員がハッピーになっているかと言うとそうではない。相場を読み違えれば大損するし、中には財産全てを失う投資家もいる。しかし、ぺロを切る側には手数料が確実に入り、時には、顧客の利益よりも、手数料が欲しいという、証券マン側の気持ちが優先することもある。と言うより、それが証券マンの利益である。

 想像して欲しい、毎日毎日ぺロを何枚切ったかを競う職場、それはまさにマネーゲームの修羅場であり、毎日が人生ドラマと言ってもいいくらいだ。「ぺロが人格。証券会社では当たり前の事ですよ」と言う小柳社長は、実に多くの人生模様を見てきたことだろう。

 しかし、その経験が今の小柳商事のビジネスモデルを明確にしたと言えまいか。これは鉄人の勝手な思い込みかも知れないが、小柳社長が小柳商事の後を継ぐべく、修業のつもりで入社した証券会社で、実は、小柳社長の気持ちが固まったのではないかと思うのである。毎日がぺロを切った貼ったの証券業。その世界に身を投じた結果、堅実で誰もが喜んでくれる事業をしたい。提供するサービスで顧客を喜ばせたい。それが出来る塗料卸売業でありたいと、きっと、小柳社長は考えたのに違いない。

 ぺロからペイントに、これはシャレではなく、株式の売買数という、言わば売り上げだけの世界から、ペイントを通じて顧客にどのような利益を提供するかという、まさに、小柳社長が自らの経験から見出した、ビジネスの真理なのである。

塗装もモノからコト

 鉄人は、ものづくりはモノからコトへ、ずっとそう言っている。その意味は、単にモノを売るのではそこに付加価値は無く、本当に顧客が求める価値とは、提供されたモノを使った結果がどうなるのか。今回の場合で言えば、塗料を採用した企業が、自社にどのような利益があるのかというコトを教えて欲しいのである。そして残念ながら、今の我が国の現状を見るにつけ、モノを売るだけではコスト競争になると言い続けて来た鉄人の予言通りなってしまった感もある。

 ところがおっとどっこい、この小柳商事は、見事にモノからコトにシフトしたお手本みたいな会社ではあるまいか。塗料という商品をどう使って顧客に利益を提供するか、その為にはどうするかを探究している小柳商事は、聴けば聞くほど将来が楽しみになる会社なのである。その一端を紹介しよう。

 塗料は有機溶剤を使うことが多い。従って、有機溶剤から発生するガスをどのようにして処理するか、それが頭の痛い問題だ。揮発性有機化合物(VOC)対策は、塗料を使用する企業にとって大きな問題であり、専門業者に対策を委ねると、その事業者は、自社が開発した仕様の装置や機材を使うようにすすめるが、果たして、それが最善なのかユーザーは迷うばかりだ。

 ここに、小柳商事の出番がある。先にも書いたように、顧客の利益を最優先と考える小柳商事は、あらゆるシステムを検証して、一番いいものを薦めているのである。例え、それがその時にはコスト高と思われても、長期的な視野で顧客の利益を考えれば、それがいいと思うコトに信念をもってすすめることが、小柳流なのであるから当然だ。

 そして、そのような経験や実績を積めば積むほど、顧客への提案は進化するので、それがコンサルティング事業になるのは必然なのである。現在、顧客サービスの一環としてカラーコーディネーション事業をしているのは、顧客がどのように塗装をしたらよいのかという、最も塗装の基本的な事柄までも小柳商事に任せるようになったのは、これも必然なのかもしれない。

産業用色彩情報企業

 鉄人は、ビジネスモデルを大切にしている。いや、大切にすると言うより、これが決まらないと事業は出来る筈はないというくらい、事業を進める上で最も基軸となる上位概念が、ビジネスモデルであるからだ。目先の売り上げを上げる為に、目の前の商品や事業をどうするかより、自分の会社は本当にどうなりたいのか、将来のビジョンが明確にならなければ、なにも決められないのである。

 小柳商事を鉄人はどう見たか。先ず感じたのは、ビジネスモデルが明快であることだ。最初に書いたが、ぺロの世界からペイントの世界に転身した小柳社長、それを意識したのかは知らぬが、間違いなく、結果としてビジネスモデルを明確にしたのである。それは、ペイントという商品を通じて、顧客に産業における色彩情報を提供し、結果、顧客に利益を提供するという事業である。

 商品や製品に塗装するのは、人間で言えば服を着ることや化粧をするのと同じことであり、生産される商品や製品の表面を装飾することは、産業界に彩りを添えることである。顧客に塗料の特長や性能を的確に伝え、色彩や色使いのトレンドや使い方という情報を提供し、場合によっては商品や製品のマーケティングにも協力して、顧客の競争力までも左右するのである。

 メーカーは、優秀なマネキンにその販売の多くを委ねている。そう言う意味で、小柳商事は塗料業界のマネキンかも知れない。しかし、普通のマネキンと違うのは、メーカー寄りではなく、真に顧客の利益を考えている点だ。顧客が信頼して集まってくるのは、顧客の事情に鑑み、顧客の利益(綺麗になりたいという願望)を満たすことに徹しているからで、それが小柳商事のビジネスモデルであるからだ。

 塗料業界にあって、産業用色彩情報企業というのも初めてだが、塗料業界の「カリスマ・マネキン」になるのは間違いないだろう。

小柳商事株式会社

昭和26年の創業以来、高品質塗料をはじめ化学薬品、塗装プラント設備などを扱う商社として、自動車・電気・産業機械・建築業界など、幅広い業種・業界に対しさまざまな提案を行う。また、プライベートブランドも有し、充実のラインナップを誇る。

多数の有資格者による専門的アドバイスや、環境対応商材(VOC削減、CO2削減)に力を入れており、きめ細かな調色等、各種サービスも特徴。

豊富な実績・ノウハウにより、「塗料で企業を元気にする」企業として躍進中。

本社 :東京都大田区蒲田2-26-5
ホームページ http://www.koyanagishoji.co.jp
新卒採用ページ http://www.koyanagishoji.co.jp/recruit

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